先生の闇を甘く見ていた
「オヤジが…ちょっとおかしい、なんかあったら、すぐいって」
青葉から虎児にそんな話は伝えられた。
「幸洋先生だぞ」
先生にそんなことがあるわけがないと、テスト期間中は幸洋のマッサージを虎児は受けることになっていたので、いつものように痛いんだろうなと構えていたところ。
ムニ
(?)
ムニ
痛さがまるでなかった。
「どうしたの?」
「俺は先生の闇を甘く見ていた」
「だろ」
息子と弟子があーだこーだ、う~んどうしようかと思っていると。
「すいません、予約していたものなんですけど」
お客さんがやって来てしまったのである。
(虎児は準備を、僕はオフクロに連絡する)
(わかった)
そんな二人を知らずに、お客さんはこの間始めてきたときはびっくりしたけど、レポートが終わっても、体が楽なままだったもんな、なんて思いながら鞄をおろしていた。
「じゃあ、そちらにお願いします」
リクライニングシートに座った。
「始めます」
ムニ、ムニ。
(あ~気持ちいい)
「先生」
「何でしょうか」
「先生に教えてもらったストレッチ、あれいいですよ、車に長時間乗っても辛くなくて、僕ね、これが辛くて、出来なかったことがあったんですけどもね、これか、色々なところに行けるんだなって思って」
(私は…)
「これから休みだし、楽しみだなって」
(私は何をやっているのだろうか)
自分の息子ほどの年齢のお客さんが、こんなにも素晴らしい夢を語ってくれるなんて、大人としてその夢を応援しなければならないのに…
ギュ
「あっ、痛いですよ、そこ」
苦笑しながら、痛さからか足が動いた。
ああそうだ、私は落ち込んでいる場合ではないではないか?私には、私にはやるべきことがあるじゃないか!
カッ!
花信風幸洋の目に力が戻り、自らの体を循環させるために手首や肩を回し、集中力がどんどんと高まっていく。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ」
「えっ?」
「オヤジ?」
その悲鳴で二人は幸洋の復活を知った。
岩彰ゆすらが先生の闇を祓ったのならば、このお客さん、健康を愛する会の新会長のキラキラこと木更明良が先生の闇を浄化した。
これが新しい時代でごわすか、若さというのは素晴らしいキュン、会員達はこの事を知ると感涙するのだった。




