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ストレッチだけでいいんじゃないかな

健康処楓に一回5000円は高いと思う人も世の中にはいるようだ。

しかし、それも昔の話。

楓のお客さんに渡される「人生を楽しむため」のクーポン、通称旅券、こちら読みはりょっけんでも、チケットでもいい。

最初に渡されるものと、更新して手に入れるクーポンの二つで構成される。

月末までに手続きしてもらうと、次月の割引件が来るのだが、スーパー銭湯に2、3回いけば楓の元が取れてしまう。

ここまでお得なものにしているのは、健康になるために苦しみ、楓の幸洋(こうよう)に一撃を入れられて終わるまでに使った金額が凄まじいからである。

それこそ、外車一台、家一件ぐらいはみな使っている、その時の悔しさったらない。

会員の一人が、「溺れるものに藁を売る仕事をしているやつらがいる」などと例えたために、食い物にしているやつらは会員の中では「藁売り」と呼ばれていた。

ここまでお得だと、クーポン目当ての者も定期的に現れるが。

「…君はストレッチだけでいいんじゃないかな」

それ目当てで楓に行ったとしても、幸洋先生からはそれだけしか言わない、もちろんそのまま帰されるんで、お客様番号はもらえないのである。

「なんか手帳とクーポンをセットするカバーもあるみたいなのよ」

そんな話を幸洋先生の弟子の虎児(こじ)に、彼の同級生の岩彰(いわあき)が教えてくれた。

ゴリゴリゴリ

虎児が岩彰の脛にある老廃物を流した。

「そこめっちゃ痛い」

「右は大丈夫なんだけど、左がここまでごりごりだな」

ゴリゴリゴリ

音が聞こえてくるぐらいである。

「痛い」

岩彰はカバーをどうしようかと思っていたが、ちょうど数量限定のカバーが五種類あった。

「話は変わるけども、なんでかカバーはサメの名前だった、まあ、サメ皮だからしょうがないけども」

・サメ子

・小雨(昼/夜)

・サメる

・サメショウ

というサメの名前とデザインの写真が載っている。

注意書には八千代の庭産小雨の再生皮を利用していますとある。

ふむ、これじゃあわかりにくいでござるが、それぞれ四匹のサメの模様をイメージしているでござるが、わかりやすくすると。

・墨染 (サメ子)

・錦 (小雨昼)

・白黒錦 (小雨夜)

・青手 (サメる)

・五彩手 (サメショウ)

「あれだろ、化粧品とかああいうのでオシャレそうな名前つけるじゃんか、そういうのだろ」

「なるほど」

汚れに強い黒のサメ子かな?って思っていたが、その時脳裏に一匹のサメが浮かんだ。

結局岩彰は五彩手、サメショウにした。

選んだ後にその日の夢にサメが四匹出てきて、サメショウが三匹に胴上げしていたという。


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