この世界は化け物ばかりである~健康処楓13~
試験期間中なので、校内は大変静かであるが、資格をとったために、試験が免除になった生徒たちは、この時期を各々好きなように過ごしている。
「おっ、花信風はこんなところにいたのか」
担任が声をかけてきた。
「ドモ」
花信風青葉は寝転がって本を読んでいたのを中断し、ゆっくりと起き上がった。
「それは何語だ?」
青葉が読んでいた本のタイトルは【Maassieren】とある。
「ドイツ語ですよ」
「読めるのか?」
「まだまだ勉強中ですよ」
そうはいってはいるが、これはマッサージの教本であり、写真は載っているが、教科書らしい堅苦しいドイツ語文章が並んでいる。
「勉強家だな」
「僕なんかまだまだですよ」
この世界は化け物ばかりである、そして青葉の身近にいる両親は並のものではないため、努力するということを止めることはない。
そしてこの担任は、その両親を前にしても。
ポンポン
「えっ?花信風さんなんでしょうか」
(めっちゃチェックしてる)
多少の疲れはあるものの、問答無用で父である幸洋が技をかけない健康である。
「花信風くんは、卒業するまで君のクラスね」
面談などの度に、技をかけられては話が進まないということで、この教師が選ばれた。
青葉が読んでいた本には、誰かにマッサージする方法も載ってはいるが、自分で行うものも扱っている。
「じゃあ、今日はこれね」
岩彰は幸洋からマッサージする前に、ツボを押すことになっていた。
(膝のお皿の‥)
図を見ながら、この辺かなと押すと。
このぐらい、大丈夫だと思ったらこの激痛。
(ファァァァァ)
押すと、目がカッ!と開いた。そしてあまりの痛さにより、指を離すのも忘れていた。
「大丈夫か??」
幸洋の弟子の虎児である。
「腰抜けそう」
「なんだよ、その言い方」
今のはむくみや血の流れの改善に嫌がるツボ。
「うっ」
そのまま岩彰は物陰に。
「どうした?」
「いきなり胃が動いたわ」
それも粗相をしてしまうんじゃないかってぐらい、ギュルルルと動いたので隠れたのであった。
自分でやっただけでもこれである、これが幸洋がやったのなら……そりゃあもうすごいことになる。