すげぇな、毒親だな~健康処楓8~
向上心があるならば、そこに火をつけるだけではなく。
「どほどぼどぼ‥」
と油を注ぐタイプなのが花信風幸洋である。
そのために弟子である虎児にマッサージの練習のために誰かつれてくるという方針もとった。
「ゆすらが決まらなきゃ、うちの母ちゃんの足を揉まなきゃいけなかった」
ゆすらとは虎児の同級生で岩彰ゆすらというが、本名としては岩彰桜桃と書いてゆすらと読むのだが、だいたいオウトウとしか読めないので、ひらがなにしている。
「あれだぞ、山形ではな、その昔、疲れた男性の足を女性が洗うことで癒したっていう奴みたいなもんだ」
だから逆に女性の足を揉むことで癒されたいということらしいが、ここら辺になると虎児に必死さが見えた。
彼女が虎児のマッサージを受けるところに、自分が巻き込まれる運命にも抵抗する節を見たので。
聞いてみました。
「先生の目にどう映っているのかはわかりませんが」
「永久歯に栄養失調が出ているのはすぐにわかった」
「ちょっと前にうちの親の話を虎児くんにしましたら、すげぇな、毒親だな!って言われましたよ、
「我が弟子ながら‥その言い方、その通りだけどもね!」
「はっはっ、こういう話をすると心が痛いな」
「私も息子がいるし、この仕事につく前に色々なところで働いていたしね、でも岩彰さんって、諦めてないものね、諦めてたら、体の調子こんなもんじゃなかったと思うよ」
「それはそれこそ、歯科医の先生に言われましたよ」
現在の学校の検診の際に、歯科医に後でそういう話をされた。
「そこで食べ物だけは何とかしようと思って、虎児くんや同級生なんかは私が料理好きだって思ってますけど、学生だとね、地元の調理や栄養のイベントが私でも払える値段できちんと食べれるんですよ」
無料から五百円で、一食+おみやげもつく。
「で、君はどうなりたい」
「そうですね、出来れば健康になりたい」
「健康に出来ればはつけなくていいさ」
「ああ、そうそうこれ渡されたんですけど、使っていいんですか?」
ぶあついクーポンブックというやつで、タイトルは人生を満喫しよう!とある。
「それかい?使いなさい、日宿交通さんが配ってくれているものだけども」
このクーポンの説明をするでシュ、今まで楓に来るまでにあちこちでたらい回しにされた人たちというのは、健康になるためにかなりお金を使っているでシュ、だからそれを少しでも取り戻してほしいと思って健康を愛する会でがんばって作りまシュた。
本当でシュね、困っている人たちを食い物にしている奴、みな滅べ!
おおっと脱線しまシュた。
例をあげると、地元のスパ銭一日滞在+一食ついて1000円や、珈琲好きでしたら普段は飲めないスペシャリティー珈琲が他の珈琲と同じ値段でいけちゃいます。
「最新のものがほしい場合は、楓の受け付け番号がいるんですけど」
「ああ、そうか、じゃあ虎児くんの最初のお客さんってことにしようか」
ガタ
「先生、どうしたんですか?」
「今とても大事なものが奪われたキュン」
その語尾については、先生は連日残業が続いていたから、お疲れなんだなと流された。