表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

しんらい

作者: 藍理

しんらい

 ぼくは、かなりの変人である。自分から見てそう思うのだから、周りからもそう思われているだろう。人によって考え方が違うのは当たり前である。なぜなら同じ時を過ごしたわけではなく、同じ経験をしたわけでもないからだ。それでも、大多数の意見が揃う場合がある。一般的などと呼ばれることが多いが、ぼくはいつも真逆を行く。少数意見である事が多い。なぜなのだろう。周りと違うと見下しているのだろうか、それとも、同じ意見である事が嫌なのか、真実はわからないが、社会で生きていく上では、とても迷惑な話である。小さい頃に親から言われて1番記憶に残っている事がある。「人に迷惑をかけるな」だ。小さい頃は自分でも、なぜこの行動を選んだのだろうと思う事が多々あり、今でも、後悔している事がある。でも、開き直るつもりはないが、悪いとは思っていない。子供の頃は失敗をして学ぶべきだと、今まで生きてきて何回か思った。小さいから許してくれるとかではなく。早めに経験しておく事で、未来に生かされるし、その子の人格の形成にも役立つと信じている。現に自分は今でもこれは迷惑だろうかと行動の前に頭をよぎる。題名にもあるが、信頼とは信じて頼る事そのままである。信頼している人は誰か、1番に上がる人物は家族であると思う。それはぼくもわかるし、一般的に見てもそうだろう。でも、ぼくはそう思わない。家族を本当に信頼しているならぼくのように家族に対して、距離を置くことはしないはずだし、嫌われる行動はしないはずだ。その他にも、ぼくには彼女がいた。今までで一番自分に合うと感じたし、相手も自分のことを思ってくれていると感じた。それでも距離を置いてしまった。

なぜなのだろう。嫌いではなかった。好きだったし。なにをされても嫌ではなかった。頭の中ではそう考えていても、心理的には違うのかもしれない。信頼してもらうには信頼するしかない。でもぼくは信頼することができない。でも見せかけて、相手に信頼してもらうのは得意なのかもしれない。それはずるい。自分でもわかる。危険を顧みずにいいところだけ味わおうとするのは無責任な話だ。

中学まではそんなことはなかった。どこで変わってしまったのだろう。思い当たる節はある。高校に入って一番信頼していた彼女に振られたことだ。本当に情けない。彼女に振られたくらいでと思ってもらってもいいが、自分にとっては家族よりも大切で、ずっと信頼していて、すべてを曝け出すことができた相手だった。彼女から手紙が届き、気持ちが冷めた、別れようという文字を何回も見て泣いた。あぁ、自分のことを思ってくれている人はこの世界にはいないのかなと思った。初めての失恋だったのかもしれない。今までうまくいっていたから耐えることもできなかった。そこで性格が歪んでしまったのか、相手に信頼してもらう術をぼくは学んだ。相手に信頼して欲しいのなら、自分の弱みを見せることが1番いい。弱みを見せるのは信頼している人だけだという一般常識があるからこの人は私のことを信頼してくれているのだろうと思ってくれるはずだ。でも、自分自身は心から信頼することはない。だってすでに一回全幅の信頼をして、裏切られることの辛さを知ってしまっているから。いくら自分が成長して、精神的に強くなっても、過去に経験したあの辛さを超えることはないと思う。では、どんな弱みを見せるのか、それは偽りの弱みである。人が人を信頼するときにはかなり警戒するだろう。だってよく知らないし、裏切られたくはない。犬や猫は信頼してる人にお腹を見せる。自分の弱点であるお腹を。それも見て人はどう思うか。かわいい、まったく警戒しないだろう。全てを許してしまいそうになる。人だって同じで、愚痴とか、心配なこと、自分の心の内をさらけ出されたら、自分も相手にさらけ出さないといけないと考えてしまう。それがたとえ作り話の愚痴や心配なことだとしても。見分けられないだろう。

だって警戒を解いているのだから。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ