Bullet 2 初心者講習?
クロアはカウンターに出ることはあまり無い。多くは工房にいるかフィールドにおり、店番は雇っているNPCのシャラと生ける人形のセフカに任せている。カウンターにいるときは大抵くつろいでいるか寝ている。リアルでくつろげと言う奴もいたがこちらの方がくつろげるらしい。
今日はアイテムの整理、確認を珍しくカウンターでしていた。先日のアップデートで新たなエリアが解放されたのでフレンドと共に攻略を進め、そこで新アイテムを手に入れたのだが…
「クロアちゃんちょっと時間ある?」
「?」
「私のフレンドの子が困っているんだけど……。」
とフレンドの一人のタニ☆ムーから相談を受けたのだ。その相談事の待ち合わせも兼ねてクロアはカウンターにいる。アイテム作成の作業は夢中になってしまい約束を忘れてしまいそうなのでやってはいない。残念なことに検証出来る数も無いのでやりたくても出来ないのだが。
「こーんにちはー。」
「・…あ、来た。いらっしゃい。」
少ししてタニ☆ムーがやってきた。側には白っぽい騎士の格好をした女性と少し背の低い幼さを感じる男性が珍しそうに店内を見回している。
「…そっちの男の子が言ってた子?」
「そうそう、シュウ君です。そっちの女の子は私のフレンドでシュウ君に手解きしてるミカンちゃんです。」
「「よ、よろしくお願いします!」」
「…ん。」
少し緊張した感じで挨拶してきたミカンとシュウだが、シュウがどうやら今回の話の中心らしい。
「…具体的に相談って?」
「はい。実は僕この街についてから初めて転職して銃士になったんですがうまく弾が当てれなくて…ミカンさんは剣士ですからアドバイスも出来ませんし…。銃士周りにいませんし…」
「それで私がタニムーさんに相談したらフレンドに少し頼んでみようって言ってここに連れて来てもらったんですが。」
「そゆこと。」
確かに銃士は冒険序盤から転職できる基本職にしては難易度が高すぎる。実際クロアも最初は苦労していた。今は改善された方だが不人気なのは変わり無い。
「…具体的にどんなんアドバイスが欲しいの?」
「どうしたら射撃が上手くなるとかとどんなステータスが良いのか、出来ればオススメの武器もお願いしたいです。」
確かにシュウが不安になるのはクロア自身も始めたばかりのころ経験しているので痛いほど分かっている。
「…こんな武器を使ってみたいとかこんなプレイスタイルをしていきたいとかそういうビジョンある?」
「ええと…武器は二丁拳銃とか使ってみたいです…。こういう感じでって言うのは今のところないです。武器は転職するまで多分変えません。」
「…ひとまずは二丁拳銃を使ってプレイするって方向でいいかな?」
「はい。」
「…ステータス見せてもらってもいい?」
「分かりました。」
「…タニさんたちはこれからどうするの、今から結構暇になると思うよ?」
「いや見守っているわよ。私聞いたんだけど裏にトレーニングルームみたいなのあるんでしょ。見てみたいんだけど。」
「…誰から聞いたの?」
「カズマ」
その名前を聞いてクロアはため息をついた。カズマは良い奴ではあるのだか少々お調子者で口が軽いのだ。
そうこう話しているうちにシュウがステータス画面を開き終わったので見せてもらう。
プレイヤーネーム:シュウ
職業:銃士Lv2
サブ職業:冒険者
ステータス
HP :1000(1100)
STR :110(120)
DEF :100(125)
INT :80(80)
MIND :80(85)
DEX :120(125)
SPEED:110(120)
LUK :10(10)
HPは基礎体力、STRは基礎力、DEFは基礎防御力、INTは基礎魔力、MINDは基礎精神力、DEXは基礎技術力、SPEEDは基礎速度、LUKは基礎幸運力を表し、括弧内の数字は現在装備している武具の効果を合わせたものである。
「あの…どうでしょうか?」
「…初期防具に胴が序盤から買えるチェストプレートを組み合わせているだけだからほぼ初期ステータス。修正もきくし何よりなんにも縛られなくプレイ出来る。現状じゃ良し悪しは言えない。とりあえず裏に行こうか。」
クロアはそう言ってシュウたちを裏に入るよう促す。シュウとミカンは首をかしげているようだがタニ☆ムーだけは嬉しそうだったが。
「とりあえず今何使ってる?」
「武器ですか?NPCのお店で売ってたこれですけど。」
ブランクガン
武器種別銃
ATK+15 DEX+5
ATKは武器自身が持つ攻撃力であり、モンスターやプレイヤーに与えるダメージはプレイヤーのSTRと敵のDEFを加えて計算される。
「そう、じゃあはいこれ。」
「もう一つ?どうするんですか。」
「とりあえず撃ってみてもらうから。」
「え?」
クロアはそう言って裏口のドアを開けて外に出る。そこには少し整備された土地に無造作に案山子と的が立ててある。
「これだけ?意外に物足りない所ね。」
「もう一つは別にあるから今はこれだけで十分。」
「撃つってあの案山子をですか?」
「そう、弾は一回渡すから無くなるまで自由に撃ってみて。見てるから。」
「とりあえずやってみます。」
「私もやっていい?使ったことないのよね。」
「ご自由にどうぞ。」
「ミカンちゃんもやらない?案外楽しいかもよ?」
「えっと…良いんですか?」
「ん。」
そう言うとタニ☆ムーはウインドウを開きどれを使ってみるか悩み始める。ミカンも興味深そうに見つめている。その間にシュウは渡されたもう一つのブランクガンと自分のを両手に装備し案山子を狙い構える。
ドンドン!!
始めは試すような形で片方ずつ撃ち、その後はリロードするまで撃ち続ける。弾が無くなるとマガジンを外しリロードするがぎこちない。リロードが終わるとまた撃ち始める。
「うわ、重!!これホントに拳銃?」
「可愛いデザインのも結構ありますね。変なのもありますけど。」
その声に振り向くとタニ☆ムー達が色々実体化させて見比べている。撃ってみるという目的は何処へいったのか。シュウも気になったのか射撃をやめて見に来る。
「断罪者の重み、うわぁ威力高いですねこれ。しかもこれ自身が持つ特殊能力も強力ですよ。」
「その代わり必要ステータスが高いんでしょうね。職業補正かかってもシュウ君にはきついんじゃないかしら。」
「…ならやってみたらいい。その方が説明しやすい。あとタニさんも撃ってみて。」
「分かったわ。確かに比較した方が説明しやすいし。じゃあシュウ君お願い。」
「はい。うわっ!!お、重い…。」
シュウは言われたとおりジャッジメントを構える。しかし既にうでが震えており持つのもやっとといった感じだ。片手持ちは無理と判断し両手で持つ。
ダァァン!!
「うわわ!!」
シュウは撃った反動で腕がはねあがり尻餅をつく。クロアは予想かついていたようで驚いてはいなかったが他の二人はかなり驚いている。
「シュウ君大丈夫!?」
「なんとか大丈夫ですけど、腕かまだしびれてます。何ですか今の?うわ、HP結構減ってる。」
「あれは武器の要求ステータスに足りてない場合に扱った時に発生するペナルティね。私が撃ったらまだましだと思うけど。」
そう言ってタニ☆ムーも銃を構えて案山子にむけて撃つ。腕がはねあがりよろめいたものの倒れる様なことはなかった。
「う〜、腕がしびれるわね。職業補正はかかってないけどクロアちゃんよりステータス上だと思うから大丈夫だと思ったけどなぁ。」
「…そこら辺の説明も兼ねて説明するから座ろうか。」
クロアはテーブルと椅子を取り出し三人座るよう促す。そして人数分の飲み物と食べ物を並べる。
「お、美味しそう。これどうしたの。」
「メルティが店で出したいから味の感想を聞きたいって。」
「やったー。メルティちゃんサイコー!!」
「…じゃ、食べながら話しますか…。」




