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《騒ぎ》第十五回

 熊次は辺りを虚ろな眼差しで見回した後、柱を頼りに立ち上がり、ふらつきながらも部屋を出ると、廊下伝いに歩き出した。そこへ、反対側からお紋が走り込んできた。

「お、親分が…」

 声が上擦って掠れ、震えている。

「えっ? …親分がどうかされやしたか?」

 訊いた熊次も、半分方は眠っているから、全く要領を得ない。お紋も無益を悟ったのか、

「チッ! もういいよっ」

 と、舌打ちして、他の者を探しに大部屋へと駆け入った。ぐるりと部屋中を見回しはしたお紋だが、誰一人として正気で頼り甲斐がありそうな子分はいない。後を追ってきた熊次が赤ら顔で、

(あね)さん、どうされたんです? 親分は?」

 と、また、(まと)を得ない意味不明な訊ね方をした。

「まともな奴は、他にいないのかい!!」

 立腹したお紋は熊次に詰め寄るが、(らち)があきそうにない。熊次を見捨てたお紋は、誰彼となく、辺りへ(わめ)き散らした。

「お前達! それでも鼯鼠(むささび)の五郎蔵の子分かい! 親分が斬られなすったっていうのにさぁ~!」

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