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《騒ぎ》第十四回

更に加えて、いつの間にか寝入った筈の五郎蔵の首が消えている怪にも気づいていない。というのも、それは神技の如きもので、物音は全くなく、(しか)も、ほんの束の間の出来事だったから仕方がない。

 寝床の五郎蔵は眠っているようで、微動だにしない。無論これも、死んでいるからと云えばそれ迄なのだが、首が消えた斬り口からは、血しぶきが吹き出ているにも拘らず、身体が上手く布団に覆われていて、飛び散った異変の形跡は見えない。そういうことで、全くお紋は異変には気づくことなく、呑気に酒を飲み続けた。そうは云っても、語り相手もなく四半時も飲んでいれば、自ずと睡魔が襲おうというものである。重くなる瞼を擦りつつ立ち上がったお紋は、五郎蔵の寝床へふらふらと近づいた。

「ギャアア~~!!」

 大絶叫する声が、辺り一面に(こだま)した。離れの大部屋にも、当然、その声は(とどろ)いた。子分の大方は上下(かみしも)の区別なく雑魚寝の態で、残った数人も、へべれけ近くで手元が覚束ない。そこへ、お紋の大絶叫である。

「…ん? 何ごとでぇ…」

 と、云ってはみたが、身体が思うに任せない熊次は畳上を這った。もう一人の代貸しである政五郎は部屋の真ん中で大の字になり熟睡している。

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