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《師の影》第十二回

 一馬だけは、歳が余り離れていない所為(せい)もあってか、門下の中でただ一人、未だに左馬介に対して敬語遣いであった。その為もあってか、左馬介は道場内で心の許せるただ一人の男、いや、友のような親近感を抱いていた。

 それは(さて)置き、左馬介にとって気掛かりなのは、幻妙斎の日々の態様であったが、そのことに関しては、何一つ分かっていない。これが、左馬介の胸中に(わだかま)りとなっていた。膳のこと一つにしても、そのことについて、門弟達が全く語ろうとしないのが得心いかないのだし、第一、師範代の立場で道場を仕切る蟹谷が詳述しないのは何故なのか…と、左馬介には思えた。

「先生にお目には、かかれないのですか?」

 左馬介は思い切って午後の稽古前に切り出してみた。

「いえ、そのようなことはないのですが、余程の事でもない限り、皆、遠慮致しております…」

 一馬は、だらりと憩い部屋の畳に寝転んだまま、無頓着にそう返した。

「しかし、私のような新参者は兎も角として、或る程度の腕達者なお方ならば、お手合いをお願いされると思うのですが、そうは、なさらないのですか?」

 ふたたび(くど)く迫る左馬介である。

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