表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/612

《師の影》第十回

 すると、二日を要して、謎は解けた。蟹谷は堂所(どうしょ)へ現れると、席に着く前に片隅に置かれた幻妙斎の膳を持ち、一端、堂所を出たのである。そして、僅かな間に堂所へと戻り、席へ着いた。この素早さでは、昨夜、気づかぬのも道理だと左馬介には思えた。問題は、観ていないその後の膳の行方であった。そしてまた次の日の夕餉、今度は堂所の中央ではなく入口で全員が現れるのを左馬介は待つことにした。案の定、蟹谷は昨夜のように膳を持ち、一端、堂所を出た。直ちに左馬介はその跡を追った。すると、廊下を挟んだ別間の襖を開けた蟹谷が、膳を中へ置くと襖を閉め、また堂所へと戻って行く姿が観えるではないか。どうも幻妙斎は、その別間にいるか、或いは膳を取りに、その別間へ現れるかの(いず)れかに思えるのである。左馬介も、それ以上は賄い番の関係で深く知る暇はない。

「どうです? 分かったでしょう」

 午前の部の稽古が終り、汗を拭いながら一馬が左馬介へ声を掛けた。

「先生は門弟を避けておいでなのですか?」

 沸々と(たぎ)った疑問を、ここぞ、とばかりに、左馬介は一馬へぶつけた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ