表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/612

《師の影》第八回

 夕餉となり、一同が、ざわつきながら昨夜のように堂所(どうしょ)へと集まりだした。膳も並べ終え、もう一馬や左馬介がやることといえば、各自の椀や茶碗を装う程度のことだ。堂所を囲むように置かれた膳と中央に置かれた飯鍋と汁鍋。そして、二つの鍋の横へと座り、全員が席に着くのを待つ一馬と左馬介。待つ間、これからの日々、こうした日常が繰り返されるのか…と、左馬介は詰まらない雑念を巡らせていた。

 幻妙斎の膳は片隅に離して一膳、準備してある。奇妙なことに、昨夜の膳も、左馬介が眼を離した一瞬の隙に消えていた。誰が世話をしたのか、左馬介は知らない。一馬に訊くと、

「先生は別に住まいなされておられます。それが、妙と云えば妙なのですが、夕餉は当道場でお食べになるのです」

 と訊いてもいないことを先に云う。一馬も幻妙斎の生活の様を知らないのか…とも思え、自分が分からぬのも道理だと思えた。

 いつもは湯漬けにして掻き込むのだが、今夜は汁が付いているからか、皆、冷や飯を食らい、魚を(むし)って汁を飲むといった塩梅(あんばい)になる筈である。

「今日は、どなたがお世話を?」

 と、左馬介が訊ねたとき、全員が揃った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ