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《惜別》第三十四回

ただ、樋口が仲介して、一人頭、月一朱の金を道場へ入れることは続けられていた。だから樋口を含めて、月一分の金が勘定としては長谷川の懐へと転がり込む寸法なのだ。しかし、代官所からの金子が、長谷川にも訳が分らぬままに減り続けていたから、この一分を加えても三人が過ごす賄いの費用としては、そう豊かな暮らし向きとは云えなかった。

 樋口が突如、道場へ顔を出しのは丁度、三人が梅見のことを話し合っている時だった。樋口は息を荒げ、幻妙斎が急に姿を消し、影番のの自分としては連絡が取れず難儀していると云う。それも、逗留先の千鳥屋の喜平にも告げず、自分にも知らせずだ…と愚痴めいて語るのだ。ただ、(いおり)にその些細を綴った書面を(したため)ておく故、後日、見るように…との小文(こぶみ)の書き置きが部屋にあったのだ、と樋口は加えた。師の身体の加減は、ひとまず心配に及ばない。だが、何ゆえ急に姿をお隠しになったのか…。これが偽りなき左馬介の心の疑問なのである。(いおり)に書きつけが残されているのならば、それを開けば大よそのことは分かるだろう。

「樋口さん、庵へ行ってみましょう!」

「おお、そうだな!」

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