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《惜別》第二十七回

「いやあ、なに…。お茶でも差し上げねばと、思いましたもので…」

「ははは…。どうぞ、お気遣いなく」

 そうとだけ遠慮を吐く左馬介へ、敷居を早足で上がった与五郎が座布団を勧めた。権十、の破けた座布団とは偉い違いだな…と左馬介は思いながら、腰の刀を手に持つと、座布団へ身を委ねた。

 申の下刻、樋口がやってきた。今日の場合は八十文の口だな…と、左馬介は一瞬、思った。

「なんだ、左馬介ではないか…。よく、ここが分かったな」

 店奥への暖簾を潜るや、樋口から飛び出した言葉は、まずこのひと言である。

「ええ…、さる筋から訊ねまして、漸くここが…」

「さる筋か…。左馬介も隅には置けぬな。なかなかの人脈とみえる」

 そう探って、樋口は笑みを浮かべた。

「なにを…。運よく辿り着けただけの話で」

「まあいい。それで、どういう用件だ? 確か、お前との約束は、先

生に異変があらば…とのことだった筈だが…」

「それは、そうなのですが、一方的にこちらが待っている、というのも如何なものか…と思えまして。それに、暫く音沙汰がありませんでしたから、先生のご様子も気がかりで…」

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