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《惜別》第二十回

「さ湯のようなもんで、申し訳ねえだども…」

「あっ! もう、お構いなく」

 そうは返したが二の句が継げず、次の言葉が出ない。仕方なく、左馬介は間合いを詰めようと、出された湯呑みを手にした。その湯呑みも、座布団と同じく、陶器とは、とても呼べぬ粗悪なもので、所々が欠けて罅割れていた。左馬介はこの時、百姓の日常の暮らしとはこのようなものか…と、改めて知らされる思いがした。そして、ひと口、啜った。

「それで、どのような用向きでごぜえやしょう?」

 左馬介は権十にそう云われ、 ━ そうだ、そのことよ… ━と気づき、盆へ湯呑みを置いた。

「ええ…、実は樋口さんの居場所を内々に探って欲しいのです。無論、礼金はお出し致します」

「樋口さん? …とは、代官所の樋口半太夫様の御子息であらせられる?」

「はい、その通りです。今は先生の影番を勤められ、とんと行方が知れぬのです」

「そうでごぜえやしたか。樋口様の所在をお知りになりたいと?」

「はい…」

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