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《惜別》第十八回

 左馬介は権十の住処(すみか)を知らない。だが、葛西ではその名の知れた権十のことである。地の(いず)れかの百姓に訊けば、労せず辿れるだろうと左馬介は踏んでいた。その通り、左馬介が葛西村のとある百姓の家で訊ねると、一も二もなく権十の家は知れた。左馬介は教えられた道順を進んで、漸くその百姓が云った円広寺近くの家屋へ行き着いた。家屋といっても、それは名ばかりで、今にも崩れ落ちそうな茅葺(かやぶ)き屋根の、あばら屋であった。

「頼もう!」

 粗末な戸口の前で、ひと言、左馬介は声を張り上げた。

「はい、どちらさまで…」

 口調より、武家と分かったのであろう。内から、目上の者に返す声がした。

「堀川の秋月です。少しお話ししたき儀があり、罷り越した次第!」

「へえ、この(わし)風情に、何の話でございましょう。よくは分かりませねど、まあ、入って下さいやし。むせえ所で申し訳ありませんがの…」

「さようか。…では、御免!」

 左馬介は幾分、話し言葉を整えて対していたが、権十の了解が出たので中へ入ることにした。

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