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《惜別》第十三回

「そのことは私も気になっておりました。今迄ならば、正月引きでしたが…」

「なんぞ、影番の樋口さんを通して、先生のご指示があったのかも知れませんね」

「ええ、私も左馬介さんが云われるようなことかと思います」

 鴨下は右と云えば右、左と云えば左へ動く男だから、左馬介も話に熱が余り入らない。だから話も弾まず、いつの間にか尻切れ蜻蛉になった。そうこうしている内に、握り飯も焼けてきた。無論、焼く為に金網に乗せている訳ではなく、飽く迄も冷えた握り飯を温めんが為のひと手間なのである。大皿に三人分が焼けた頃、申し合わせたように長谷川が、ドカドカと音をさせて粗野に入ってきた。

「おう、美味そうに焼けたな。どれどれ…」

 そう云うと、焼けたばかりの握り飯を手にしよとした。が、刹那、長谷川は手を素早く引っ込めた。

「ウッ!」

「長谷川さん、上のは今、焼いたばかりの奴で、熱いですよ」

 鴨下が、云う間合いを逸したということもあった。

「鴨葱、それを早く云わんか。…いや、これは俺が軽弾みだったな、お前の所為ではない。しかし、迂闊だったわ」

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