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《残月剣④》第三十一回

立ちあがった左馬介は、二本の木切れを打ち叩く同じ繰り返し動作に霞飛びを加味してみることにした。霞飛びを合い間へ入れることにより、同じ繰り返し動作が変化して崩れた。この方が左馬介としては実戦的であり、望むところだった。

 左馬介が、霞飛びの初歩の技を高める為に山駆けをふたたび始めたのは次の日からである。木切れを打ち叩く間に霞飛びで身を退避させる為には、山駆けすることにより、跳躍力を高めることが必要だと思えたからである。山道を疾駆し、或いは段差を飛んで、左馬介は霞飛びを高める修練に汗した。

 半月ばかりが経ち、左馬介の跳躍力は格段の進歩を見せるに至った。更には、走りながら空中へ舞い上がり、一回転して着地した後、ふたたび走り去るという連続した所作を(こな)せるようにもなった。幻妙斎の足元にも寄れぬ稚拙極まりない進歩だが、兎も角、ここ迄の技に至れば左馬介としては占めたものなのだ。刺客の不意を突く襲撃を、取り敢えずは(かわ)して体勢を立て直せる道筋はついた。こうした技は忍び、所謂、影者ならば当然、身にさけている技なのである。尋常に武芸の道を志す者としては、些か、場違いとしか云いようがないのだが、危険そのものを回避して刺客を倒す為には、必要べからざる技であった。

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