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《残月剣④》第二十二回


左馬介が戻ったことは、長谷川の位置からは見えるが、背を向けている鴨下には分からない。それは別にどうでもよく、左馬介は自分の小部屋へ、ひとまずは入った。夕七ツ時の鐘が鳴ったのだから、もう半時もすれば日は暮れる。左馬介は小箪笥から着物を出し、着替えた。山へは入ったが、稽古をした訳でもなく、また冬場ということもあってか、そう汗は掻いていない左馬介である。身に着けていた衣類は、流石に熊笹へ分け入ったこともあり、汚れているから洗わねば…とは思えたが、身体はそう汗ばんでいないし疲れもない。湯茶など飲もう…と、左馬介が堂所へ行くと、笑い話をしながら長谷川と鴨下が稽古を終え、顔を出した。

「あっ! 左馬介さん。風呂が沸いております、入って下さい」

「えっ? それはそれは…。有難いんですが、長谷川さんが先でしょう、いくら何でも…」

「ええ…無論、そうなのですが、長谷川さんは風邪気味で遠慮すると申されたもので…」

「ああ、そうなのだ、左馬介。遠慮せんと、入ってくれい」

 方便で云っているのかは別として、長谷川も同調した。そうまで云われては左馬介も遠慮を解くしかない。それに、実のところ、少し気疲れもあり、湯船でゆったりとしたい気分であった。

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