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《残月剣④》第十四回

 小部屋へ戻ると、左馬介は懐紙を机に広げた。まず考えることは、前後に手頃な程度の高さの枝がある二本の木が存在する場である。そして次は、その二本の木立ちの枝に縄を結わえて垂らす訳だ。取り敢えず、左馬介はそこ迄を懐紙に書いた。更に考えを進めれば、その二本の木の距離と垂らす縄の長さなどである。余りに左馬介と木との距離が狭過ぎれば、木切れを打ち砕いた後、身体を翻してもう一本を打ち叩く動きが間に合わない。であれば、自分の前後から木立までの距離が如何ほどであればいいのか…という究極の思案が必要となる。左馬介は、こればかりは或る程度、条件に合う場所を探し、実際にやってみる以外に方法がないと思った。勿論、そうした細々としたことも懐紙に(したた)めた。

 次の朝の稽古が始まる前に、左馬介は稽古着から昨日、認めた懐紙を(おもむろ)に取り出した。それを見ながら、長谷川と鴨下に存念を話すことにした。

「実は、お二方にお願いしていた稽古なんですが、…今日までにしたいと思っておるのです」

 それを聞いた二人は、呆気に取られている。

「いや…。こちらからお頼みしておりましたものを、誠に申し訳なく思うのですが…」

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