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《残月剣④》第十二回

二本を打ち叩いたとすれば、その反動は必ず同時には戻らない筈なのだ。打ち叩くのは、まずは前方の一本で、続けて後の一本を身を翻して打ち叩く…という寸法だ。当然、先に打ち叩いた前方の木切れの反動は、後方の一本より早い。だから、後方の一本を打ち叩いた後、即座に身体を前方へ反転させなければ、二度目を打ち叩くには間に合わない。無論、妙義山中で行った時よりは、長めの縄に木切れを結わえねばならないだろう。少しでも反動を遅らせる為である。前、そして後ろ、また前…と、交互に打ち叩くことになるのだが、果して首尾よくいくかは、やってみなければ分からない…と左馬介は思うのであった。上手くいけば、左右も加えて四本にも増やせる。また、木切れが相手ならば、長谷川や鴨下にする気配りは無用なのだ。問題は、そうするとして、長谷川や鴨下に、どう説明するかである。左馬介の方から頼み込んで態々(わざわざ)、稽古に付き合わせたのだから、それ相応の説明をしなければ申し訳なく思える。いや、それよりも、師範代の長谷川を怒らせることも有り得るのだ。恐らく、鴨下の方は説明する迄もなく、右から左へと了解してくれるに違いない。そんなことで怒る鴨下でないことは、左馬介が一番よく知っている。だが、長谷川の内心までは予測がつかない左馬介だった。

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