表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
553/612

《残月剣④》第十回

 左馬介が身体を井戸の冷水で拭き終え、小ざっぱりした気分で厨房入ると、人心地ついたのか、長谷川と鴨下が。すっかり寛いだ表情で話をしていた。それも偉く賑やかで、二人とも笑っている。

「権十は、いつもながら怖いもの知らずで、物怖じしない奴だ…」

「まったくです。その浪人に斬られても仕方ないでしょうに…。ようもまあ、無事に来れたものです」

 左馬介が黙って聞いていると、どうも百姓の権十が道場へ寄ったようだ。それも、何かあったとみえ、ほうほうの態で道場へ走り込んだのだと、その時の状況を鴨下が語る。左馬介が入ってきたから、もう一度、話を繰り返しているようなところがある。その証拠に、鴨下は時折り、チラッと、左馬介を窺う。聞いていない態で、左馬介は水で絞った手拭いで顔を拭く。鴨下は知ってか知らずか、話を詳しく語る。

「どうも、その御浪人が道を訊かれた頃合いが悪かったようです。権十も急いている訳でもなかったから、詳しくお教えすればよかった…と、申しておりました」

「それはそうだ。高が、ここへ野菜を持ってくるだけだからな。急ぐ必要がない…」

「ええ。それが、いい加減に御浪人を、あしらったものだから、怒らせてしまったのでしょう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ