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《残月剣④》第九回

「左馬介さん、水を一杯、飲みにいっても宜しいでしょうか?」

 左馬介は丁度、息を整えて瞼を閉じようとした矢先だったから、この時は流石に、ギクッ! とした。

「…ええ、どうぞ。ちょっと、休みましょうか? 長谷川さん」

「ん? そうだな…」

 そういう積もりではなかった長谷川だが、強いて続けねばならぬ訳もなし…と、軽く応諾した。鴨下は、竹刀を刀掛けへと戻し、稽古場から出ていった。水瓶は厨房にあるのだから、厨房へ行ったことは二人にも分かる。左馬介は、面防具を外して頭を覆っている手拭いを取った。既にそれは半ば濡れていた。無論、稽古用に数枚の予備は用意していたから、汗は、その中の一枚で拭った。顔から首筋へと進め、取り敢えずは応急処置とした。冬に入ろうという時候だから、風邪は避けねばならない。長谷川は既に鴨下の後方に続いて、もう稽古場にはいなかった。左馬介は厨房へは行かず、二人と反対の方向へ、渡り廊下を曲がった。飽く迄も応急処置で終えた身体の拭きでは、どうも小ざっぱりとはしないのだ。そんなことで、井戸の冷水で身を拭おうと思ったのである。幸いにも体熱は充分で、今なら外気の冷たさも返って心地いいくらいのものだ…と左馬介には思えた。

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