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《入門》第二十七回

 少し薄めの味噌汁と塩昆布、それに沢庵を添えたもの、その膳が、朝餉の日常であった。時には、地の百姓達の中の奇特な者が差し入れてくれた生卵などが付くこともあったが、それは大層な馳走であり、滅多やたらと付くことは無かった。

 暫くは門弟九名が食べていたが、そこへ地の葛西者である樋口静山が現れた。入門は、間垣一馬、長谷川修理、山上与右衛門に次いで新しかったが、剣の腕は道場でも一、二の凄腕だと一馬から聞かされていた左馬介である。

「皆様方、お早う御座居まする…」

 と、立ったまま樋口は軽く頭を下げ、皆に向かって一礼した。

「お早う御座る…」

 誰彼となく、そう声が飛んだ。樋口は、その声を聞くと、道場の方へと歩き去った。門弟中、唯一の通い者である。

「あの方は少々、風変わりなところのある方でしてね。いえ、風変わりというより、偏屈と云ったほうがいいでしょうか…」

 と云って小笑いし、一馬は切り出した話を途中で暈した。

「と、云われますと?」

「はは…。まあ…後から道場の方へ行ってみれば分かると思いますよ…」

 茶碗に入った僅かな飯を一気に口中へ頬張り、乱雑に汁椀を口へと運ぶ一馬が左馬介に云う。

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