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《残月剣④》第四回

残月剣のことのみを(おもんばか)っていなければならぬ左馬介なのだが、そういった眼の前に映るもので心を(くすぐ)られたりすると、自分は未だ駄目だ…と、思えるのであった。廊下を曲が小部屋へと左馬介は近づいた。ここも、賑わっていた二年も前は、各部屋とも満杯で、ぎっしりと詰まっていたものが、今は蜘蛛の巣がそよぐ部屋の方が多い有様だった。左馬介の使っている小部屋は、そういうことはない。どれほど暇がなくとも、最小限は整える左馬介だった。寝床に布団を敷いて眠ると、久しくなかった

足冷えがした。もう、そんな候になったのか…と思う左馬介であった。道場裏で夏場にやっていた隠れ稽古も、残月剣の(かた)が一応の完成を見てからというもの、少し遠退いていた。とは云うものの、皆無というのではない。怠れば、未だ盤石とは云えぬ残月剣の腕が萎える恐れがあった。それは取りも直さず、技の冴えを失するということなのだ。それくらいのことなのだが、流石に左馬介には分かっていた。とは云え、もはや技として上を目指すには、他人を交えての稽古でなければ結果が出そうにはなかった。そんなことで、隠れ稽古を怠っているという訳ではないが、遠退いているのである。裏を返せば、それだけ左馬介の剣技が向上して、冴え渡っていることを意味した。

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