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《残月剣③》第三十三回

『盤石となる日を待っておるぞ…』と告げた幻妙斎の言が、帰る道すがら、左馬介の脳裡を過っては消え、消えては過った。当然、それを叶える為には長谷川や鴨下の力を借りねばならない。それも、真剣に打ち掛かって貰わねば効果がなく、意味をなさないのである。道場外では、如何なる殺気が身に迫るか分からない。だから、真剣にやって貰わねば困るのだ。長谷川や鴨下に稽古を頼んだ上に、更に真剣に…とは、流石に左馬介には云い辛い。何か、いい手立てはないものか…と考え(あぐ)ねていると、道場の門が見えてきた。取り敢えずは今日のことを報告だけして、委細は、また考えるかと、左馬介は考えることをやめた。

 道場へ帰ると、鴨下が走り寄ってきた。それも、左馬介が玄関の(かまち)に足を乗せた、正にその時である。左馬介の方が、何かあったのだろうか? と、気になるような始末であった。

「よかった…。黙っていなくなられたので、どうかされたのか? と、師範代と話しておったのですよ。それにつけ、まあ、何事もなくてよかった…」

 鴨下の顔に安堵の色が見てとれる。左馬介は、そうまで自分のことを心配していてくれるとは知らなかったから、返って恐縮をしてしまった。何か悪いことをしたような気分になったのである。


                              残月剣③ 了

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