表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
541/612

《残月剣③》第三十一回

「おお…そのことか。(わし)も歳ゆえなあ。ははは…樋口も、かつての儂の姿が残っておるのであろう。この獅子童子と同じで、すっかり老いてしもうたからのう」

 そう云い終え、幻妙斎は何とも優雅な含み笑いをした。心配をかけまいと、身体の不調を隠してのことなのか、将又(はたまた)、幻妙斎が今、話した通り、単に年齢によるものだけなのか…、その辺りの(まこと)が掴めない左馬介であった。しかし、流石にそう思うのだが…とは云えはしない。師の言動に疑念を抱くことに他ならず、更には、師を信じられぬと、諸に云うようなものだからだ。幻妙斎に合わせて笑ってはみせたものの、次の話に行き詰る左馬介であった。それもその筈で、左馬介が幻妙斎と茶を飲みながら長話をしたことなど、かつてなかったのだ。ふたたび静寂が訪れようとしていた。その時である。障子戸の向うで声がした。左馬介には聞き覚えがあった。

「喜平でございます。お開けして宜しゅうございましょうか?」

「おお…(あるじ)か。構わんが…」

「ほん今、鰻政の鰻が届き、お運び致しました」

「そうか…。どうじゃ、左馬介。そなたも食していかぬか?」

「いえ、私は食べて参りましたので…」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ