表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
537/612

《残月剣③》第二十七回

 店の番頭が茶を淹れて左馬介の前へ置く。

「すぐ、旦那様はお戻りになると存じます…」

 ひと言だけ云うと、それ以上は何も話そうとはせず、番頭は立ち去った。

 喜平が店に戻ったのは暮れ泥む夕刻であった。何が、いったい、すぐだっ!と、左馬介は番頭の物云いに幾らか腹立たしかったが、それも仕方がないか…と我慢した。兎に角、喜平に幻妙斎との仲介をして貰わないと、尋常に会えそうにないのだ。やっと会えた喜平に、そのことを左馬介が云うと、「いや、それが…。先生は誰も通すではない」と申されましたと一蹴した。そう喜平に云われては、左馬介も返す言葉がなかった。しかし上手くしたもので、幻妙斎が部屋の外へ、その姿を見せた。

「先生!!」と、左馬介は、思わず叫んでいた。

「おお…、左馬介ではないか、如何した?」

「いえ、どうということでは、ないのですが…」

 左馬介は、幻妙斎の余りの元気さに、少し調子が狂った。この師の様子を見る限り、樋口の一報は、全くの作り話に思える。

「さる御方から、先生のお加減が優れぬと、お聞きしましたものですから…」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ