表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
531/612

《残月剣③》第二十一回

長谷川の場合は、殺気とは呼べない迄も、隙あらば一本取ろうという凄まじい気迫の籠った足先の動きが感じられるのだ。鴨下には、それがない。所謂(いわゆる)、素振りを見せるに(とど)まっている訳である。

 十五度目が終った時、流石の左馬介も身体の疲れを感じてきた。それに、面防具の下の汗も尋常ではなくなっている。一度、拭わねばと、思えた。

「少し、休憩を挟みましょう…」

 左馬介は十六度目を終えた時、二人に向かってそう声を掛け、面防具を外した。左馬介の先読みでは、━ 恐らく鴨下は、次の申し合いで打ち込んでくるに違いない… ━ というものである。無論、その頃合いが幾度目になるのかは分からないのだが、必ずそうなりそうな予感めいた兆しがあった。休憩は堂所でとった。上手い具合に、権十がやって来て、置いていった葛西宿の、みたらし団子の串が三、四本は残っていたので、それを茶うけとして(くつろ)ぐ三人である。長谷川と鴨下は何を考えるでもなかったが、左馬介は既に次の申し合いのことを、茶を啜り、串団子を頬張りながらも考えていた。当然、打ちんで来るであろう鴨下の頃合いのことである。再開直後の十七度目か、いや、二十度目なのか…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ