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《残月剣③》第十五回

 初秋に修理を余儀なくされた野分の来襲以降、道場にはこれといった変わった出来事も起こらず、無事、冬を迎えられそうである。陽射しも日没の速度を増し、寒気も少しずつだが加わっていた。

 長谷川との稽古で、道場以外の場所に出て襲われた場合の必要最小限の受けは完璧となったように思える左馬介である。勿論、これは刺客などの襲撃者が一人だった場合であり、多人数の場合は想定外だった。多人数の場合は、剣の腕前も、さりながら、やはり身を潜めて命を守りながら多人数に対峙せねば、恐らく死は必定だろう…とは分かっている。数年前の千鳥屋の一件の際、むささびの五郎蔵一家を相手に、千鳥屋の周りを取り囲まれながら奮闘した蟹谷、樋口、山上の三人が、多くの部下を相手に力戦した時、やはり、身を潜めて命を守る建物構造が問題であった。次に、左馬介としては、相手が多人数か少数かを咄嗟とっさに判断せねばならないということもある。多人数の稽古を頼むといっても、今の堀川の現場は長谷川と鴨下の二名なのだし、どう足掻いても、それ以上に人数が増えるべくもない。とはいえ、長谷川だけの稽古よりは増しだし、現実的に考えても、その方法を頼りにする他はない…と、左馬介には思えた。この前の稽古の折り、長谷川が鴨下に云ったことも、強ち冗談ではなくなりそうに思えるのだった。


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