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《残月剣③》第十四回

「冗談、冗談だ、鴨葱。お前に頼むくらいなら、俺が稽古を続けるわっ。」

 未だ笑いが治まらない長谷川が、苦しそうに笑いを堪えて云った。

「そうでしょうね。まさか、と思いましたよ」

「いやあ…すまん。歳からすれば、左馬介よりずっと上のお前に、つまらんことを云ったな、許せ」

「いいんですよ、気にしちゃいませんから…」

 言葉通り、鴨下は寸分も気にしていないように見えた。全てが鷹揚だな…と、左馬介は思った。長谷川が武芸者には不向きだと鴨下のことを、いつか云っていたのを、ふと左馬介は思い出すのだった。

 来年は、長谷川も客人身分となる。そうなれば、稽古場に現れる者は左馬介と鴨下の二人となってしまう。幻妙斎は本当に堀川の将来を、これでいいと考えているのだろうか…と、左馬介は巡るのだった。もう、木枯らしが辺り一面に吹き(すさ)ぶ季節である。危惧された幻妙斎の体調も、ひとまずは回避されたようである。ただ、この一件は突然、豹変するかも知れない危険性を含んでいる。樋口が自分の前へ現れないよう、ただ念じる左馬介であった。

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