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《残月剣③》第十二回

何か他の重要な用件を客人達に知らせたのではないか…とも思えた。恐らく、それに加えて、幻妙斎が体調を崩したと、云ったのだう。ところが、幻妙斎が体調を崩したという話題のみが勝手に独り歩きして、もう一つの重要な肝心の話題が絶ち消えたのではないか…とも思えた。それが真相に違いないだろう。左馬介は、流布される話よりは、自らが直接、感じることの方が正確なのだと思った。

 数日が経ったが、やはり左馬介が予想した通り、樋口は現れず、長谷川が云った幻妙斎の体調は、そう悪くもないことが判明した。となれば、左馬介は残月剣の完成に全力を傾倒できる。長谷川に頼んだ打ち込み稽古を、完璧な迄に極められるのだ。次の日も、そしてまた次の日も、左馬介の受け一筋の稽古は熱を帯びていった。日が重なるにつれ、攻めに対する防御の(かた)が固まっていくのだった。

 ひと月ばかりが瞬く間に流れ、既に眼を閉ざしていても長谷川がどの位置にいて、自分を狙っているのかが分かる左馬介であった。心眼で相手を見ることは、今迄の稽古で左馬介に備わっている技量である。左馬介は、そう自分を誇示しないが、誰もが左馬介の強さを認めるものであった。だが、左馬介は動の相手に対しては、未だ心眼でその者の位置を摑めないでいた。

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