表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
518/612

《残月剣③》第八回

 鴨下の気配りで暫く寛いだ左馬介と長谷川は、その後ふたたび、稽古を開始した。勝手が分かったことで、長谷川の所作も最初に比べれば機敏である。直ぐに最初の一撃を左馬介に打ち込んだ。無論、左馬介は、さも当然の如く(たい)(かわ)して一回転した。そして、スクッと立ち上がる。長谷川にしても、一応は打ち込むが、恐らく返されるであろう…と踏んでいる向きが、なくもない。云わば、惰性とは呼べぬ迄も、ほぼ淡々とした同じ繰り返しで左馬介に対峙する長谷川の稽古は続いた。

 左、右、前斜め、後方斜め…と、様々な角度から長谷川が竹刀を打ち込み続け、その回数は、優に二十回を超えていた。

「長谷川さん、お疲れになったでしょう。今日は、これ迄にして下さい」

「そうか…、では」

 長谷川にしてみれば、珍しく顔に、やれやれ助かったぞ…と、出ている。それを左馬介は当然、分かっている。

「疲れさせました、有難う存じます…」

 (ねぎら)いの言葉を掛けることにも手抜かりがない左馬介である。刻限は、いつしか昼近くになっていた。いつの間にか、また鴨下がいなくなっていた。その鴨下が、ふたたび顔を現した。

「昼にして下さい。堂所に準備しましたから…」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ