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《残月剣③》第三回

 長谷川にはそれが分かっている。

「…参った!!」

 左馬介が構えに入って間もなく、長谷川は提刀(さげとう)の姿勢に戻りつつ、大きく一礼してそう云った。長谷川に頭を下げられては、仕方がない。取り敢えず左馬介は軽く会釈して竹刀を納めた。

「もう一度、お願いします、長谷川さん」

「いやあ…もうよかろう、左馬介。これなら俺の出番はないようだ。隙がない上に、身の(こな)しも申し分ない」

「いえ、とてもとても…。今のは、単に運がよかった迄です。他の場所へ打ち込まれれば、果して返せたかどうか…」

「そう謙遜せずともよい、左馬介」

 長谷川は軽く笑いながら、左馬介の言葉を遮った。だが、左馬介としては、一度では困るのだ。何度も、多くの場所から、それも突きだけではなく、打ち込みもやって貰いたい…と、考えていたのだ。そこは下手(したて)より頼み込む一手だ、と思えた。

「いや、別に謙遜している訳ではないのです。何度も…それも様々な位置からお願いしたいのです。長谷川さんだけが頼りですし…」

 左馬介に、そうまで下手に出られれば、顔が立った長谷川も悪い気はしない。

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