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《残月剣③》第一回

 どのような判断が長谷川の竹刀を打ち込ませるのか…と、鴨下は眼を凝らしていた。所謂(いわゆる)、左馬介の隙を長谷川がどういった機会に捉えるのか…ということである。腕前が今一の鴨下は、既に自分が剣客には不向きだということを悟っている。これだけは天性のもので、周囲の者が助力しようと如何にもならないのだ。では鴨下は何の為に堀川道場にいるのだ? ということになるが、鴨下にすれば、相応の腕前を身につけ今後に生かせれば、それで充分だと考えているから、そう深刻でもない。過去に、自分と同様の者が堀川門下にいたという事実を聞いたことのある鴨下だから、道場での日々も冷静でいられるのだ。今、こうして長谷川が座している左馬介の周囲を静かに回る姿を遠目にするにつけ、自分が何故、左馬介のような凄腕になれないのだ、爪から先も考えていなかった。無論、今後の剣筋に生かそう…という向上心はあったのだが、長谷川が打ち込む機会を捉えるのがいつか…を観ることの方が重要な今の鴨下であった。

 長谷川はもう数度、左馬介の周囲を回っていた。それでも打ち込まない、いや、打ち込めないのは、やはり左馬介の有るようで無い隙の所為であった。いくら有利だとはいえ、隙がない者へ打ち込むのは自殺するようなもので無謀以外の何物でもない。

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