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《入門》第二十三回

 誰の部屋かは分からないが、門弟の誰かの部屋であることは相違がない。その灯りが廊下を進むごとに、一つ…そしてまた一つ…と、続いた。そしてそれが(いつ)(むう)(なな)ときて、先に反対側へ折れて別れた一馬と、妙なことにまたバッタリ鉢合わせした。一馬が自分の部屋へ入ろうとする矢先である。そのことが不可解極まりない左馬介であった。

 早朝、やけに大きく響く魚板を叩く木音がした。昨夜は気の(たかぶ)りで寝つけず、意識が遠退いたのは子の刻を回っていたことを左馬介は、ふと思い出した。だから、熟睡できたのは僅かな時の中だけだったようである。今、魚板を叩く音で目覚めたのだが、辺りは漸く白み始めた早暁である。それに、誰が叩いているのか、すらも分からない。昨日、一馬が云っていたのは、魚板が鳴れば起きること、確か…ただそのひと言で、詳しいことは訊いていない左馬介であった。だから、起きねばならない! と、身体は反応したが、それからどうすればいいかは、その場に己が身を委ねるしかない。万が一を考え、袴も脱がず、そのままの身なりで床についたのが効を奏したか…と、左馬介は内心、ほっと胸を撫で下ろした。

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