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《残月剣②》第二十二回

無論、日中の(かいな)鍛えによる疲れで腕の感覚が鈍っている所為(せい)とも考えられるのだが、兎も角、昨夜の重さほどには感じず、幾らか捌き易いように左馬介には感じられた。中段に構え、いつもの残月剣の(かた)を一通り描いてみた。太刀を幾らか捌き易い…と感じたように、形も昨夜よりは滑らかに描けた…と、左馬介には思えた。やはり、朝昼の石縄曳きの効果があったのだろうか…、これは続けねばならん、と考える左馬介であった。当然ながらそのことにより、課題であった崩れ上段から一回転して袈裟に斬り下ろす捌きの速さも増すことが期待されたからである。もう一度、(かた)を描き終えた時、そのことを実感する左馬介であった。

 次の朝、目覚めると、妙に両の手の平が痛かった。よく見れば、水脹(ぶく)れで手の平の皮に豆が出来ている。それが片手に数ヶ所ずつ、よくもまあ、この状態で昨夜、形稽古が出来たものだ…と、我ながら呆れる左馬介であった。今日も曳くとなれば、何か策を講じねばならない。左馬介は両手を(さらし)で巻いて手袋代わりにして曳くことを考えていた。よく考えれば、これ以外に両手を保護しつつ曳くことは不可能なように思えた。そのことは朝餉の時、長谷川や鴨下には伏せておかねば…、と左馬介は思った。

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