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《残月剣②》第六回

身体中に汗をびっしょりと掻いていることにも、この時点で初めて気づく左馬介であった。このままでは風邪をひくな… と思えた左馬介は、ひとまず稽古を終えることにした。昼が、もう近い。腹の具合も、どういう訳か今日は滅法、空いている。それだけ身体を動かした、ということか…と左馬介は思った。堂所では既に長谷川や鴨下が握り飯を手に摑んで頬張っていた。

「黙っていて悪いが、先に食っておるぞ」

 長谷川は勢いよく食べながら、そう云った。

「あっ、どうぞどうぞ、お構いなく…」

 鴨下は無言で左馬介へ軽く会釈だけした。手は汗を井戸で拭った折りに洗っているから、汚くはない。左馬介は大皿に盛られた握り飯の一つを手にして頬張った。腹が空いているから美味い。昨日よりは少し多めに数があるようだ。

「少し多いんじゃないですか? 昨日より」

「はい。今日は少し多めに作りましたから…」

 鴨下は訳まで云わず、ただそう答えた。残月剣の(かた)稽古を始めた頃より、左馬介は賄い番を手伝ってはいない。離れたのは三人になってからだが、それでも鴨下が多忙な時は、折に触れ、手助けをしていた左馬介である。

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