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《残月剣②》第四回

 声を掛けられ、少し気を削がれた左馬介は、ひと息入れることにした。何度もやる内に、自分なりにかたが固まってきたように左馬介には思えた。しかし、一つ気掛かりなことがある。一回転したやいば)を右上方から左下方へ袈裟懸けに振り下ろす瞬間だ。一回転した刹那、突きを入れられはしまいか…と、不意に思えたのである。打突の好機には三つの許さぬ所があるのだ。その一に出鼻であり、その二に受け狭間(はざま)、その三に止まり所である。一は動作を起こそうとする瞬間であり、その二は相手が打突を受け止めた瞬間、三は動きが一時、滞った瞬間である。他にも退く所、技の尽きた所が加わる。変形させた上段から一回転させた時の間合いは、許さぬ所の、その一に該当するのだ。動作を起こそうと刃を一回転させたと同時に突かれないか…と、左馬介は気になったのである。一度(ひとたび)、気になったという意識は、もう消せるものではない。というより、それは重大な問題なのであって、左馬介にとって解決せねばならない課題なのである。左馬介が(ひらめ)く対抗策は、突かれる隙を与えぬ迅速な剣の(さば)きだった。特に、変形させた崩し上段の構えから袈裟懸けに斬り下ろす迄の迅速な捌きが必要だ…と左馬介には思えた。

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