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《残月剣①》第二十七回

「仕方ありません、自然には(あらが)えませんから…。なるようになった時のことです」

 左馬介は落ちついていて、泰然自若と外の気配を窺う。雨が風によって雨戸へ叩きつけられ、隙間から滲んで侵入し始めた。

「厚みのある雨戸でよかったですねえ。それに、風の向きも真向かいじゃないですから」

 ここまで聞いて、左馬介は鴨下が小心っぽいというより、完全に小心なのだと思った。やはり武芸者には似つかわしくないようだ。とはいうものの、今は緊急を要する。

「長谷川さんを起こした方がいいんじゃないでしょうか?」

 いっそう募る暴風雨に、鴨下が思わず継ぎ足した。この男、小心だけではなく心配性も併せ持つようだ。しかし左馬介としては先輩とはいうものの一応、自分よりか年上なのである。だから、余り無碍(むげ)な態度も出来なかった。

「…そうですね。大丈夫とは思いますが…」

 左馬介が話す半ばで、既に鴨下の両足は小部屋の方へと動いていた。

 過去を紐解けば、道場を野分が襲った記憶は左馬介にはなかった。その事実は或る意味、恐怖を遠ざけることにもなる。

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