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《残月剣①》第二十六回

 矢は見事に長谷川の身体を貫き、()落とした。鰻の知識に関しては好きなだけに他の者達に引けは取らぬ・・・と自負する長谷川だが、滋養のこととなると(うと)いから余り強くは云えないのだ。鴨下は、その辺りをどう考えているのかは知らないが、左馬介にとってはどうでもいいことなのだ。残月剣の(かた)さえ確固と極まれば、それが全てなのだった。

 暑気が早く遠退いた今年の変調は、やはり野分となって現れた。

「風が出始めました…。こりゃ、大風が来る前触れかも知れませんねえ…」

「…どうも、そのようです」

 鴨下が話し掛けたので、左馬介は(おもむろ)に灰色に流れる雲を眺めながら返した。その日の夜半、俄かに風が出始め、雨がそれに混ざって降り出した。勢いは益々、強まる一方で、いっこう止む気配がない。風が雨戸を叩き、その音に寝つけず起き出した鴨下と左馬介である。長谷川は豪胆で、未だ寝入っている。

「こりゃ、やはり野分ですね。…間違いありません!」

 語気を強め、鴨下が横にいる左馬介に早口で云う。

「この風、瓦を飛ばすかも知れませんよ」

 小心っぽく、鴨下が続ける。

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