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《残月剣①》第十五回

そして(おもむろ)に、(かたわ)らへ置いた一振りの刀を手にした。その刀は錦織の袋に納められていた。

「これを…そなたに授ける。刀名を村雨丸という。比類なき名刀ゆえ、心してのう…」

 左馬介は思わず両手を差し出し、幻妙斎が手にした村雨丸を受け取っていた。

「身に余る光栄、かたじけのう存じまする…」

 刀を手にしたまま平伏し、左馬介は感激の声を出していた。幻妙斎はそれには答えず、左馬介に背を向けた。そして、また元のように両眼を閉ざすと無の人となった。左馬介は師を眺めつつ立ち上がると、袋入りの村雨丸を片手に携え、岩棚を下りようとした。

(わし)が消ゆる(のち)、その刀は使うがよい…」

 刹那、背に声を受け、左馬介は歩みだした足を思わず止めた。しかし、幻妙斎の言葉の意味が解せず、答えようがない。━ 儂が消ゆる後 ━ とは、どういう意味なのか? それが分からない左馬介であった。だが、このまま返答せず下りる訳にもいかない。

「ははっ!」

 小声でひと言、そう云うと、左馬介は早足に岩棚を下りていった。

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