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《残月剣①》第十二回

 何かを隠すかのように樋口はそう云い残すと、出口へと足早に歩み始めた。よそよそしい樋口の態度に、何ぞあったのか…と、左馬介は心が騒いだ。こうはしていられない…と、左馬介もまた早足で洞窟奥へと歩みだした。

 見慣れた洞窟の奥まで分け入って進んだが、いつもは岩棚に座している幻妙斎の姿がない。左馬介は、はて…? と、(いぶか)しく思え、辺りを見回した。

「おう、左馬介か…。(わし)は、ここにおる」

 聞き慣れた声がした。左馬介がその声のした辺りを見上げると、やおら身を起こして座す幻妙斎の姿が岩棚にあった。だが、聞こえた声は、どこか弱々しく、その姿にも幾らかの陰りが見え隠れするように左馬介は感じた。

「ここ暫く、気分が(すぐ)れぬ日が続いておった故、臥せっておった。いや、別に大事ないのだが…。で、今度(こたび)は何用ぞ?」

「はい! 本日、(まか)り越しましたのは他でもございません。先生の仰せになった新たな剣筋が出来ました故、ひと目、御検分願えればと存じまして…」

「おお、そうか! …出来たか! 思いのほか早かったのう、それは重畳(ちょうじょう)。では、ここで見ておる故、示してみよ!」

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