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《残月剣①》第六回

 ()せながら小笑いして長谷川は云った。夕餉は既に片付いた頃だから、長谷川が左馬介の寝ていたことを、からかってから随分、経っていた。

「気にするほどのことでもなかろうが…。可笑しい奴だなあ」

 長谷川は左馬介が思い出したように云ったことを奇妙に感じたのか、(いぶか)しげに左馬介を眺めて云った。

「いやあ…どうかしていたようです。別に他意はないので忘れて下さい」

 唐突に発した自らの軽はずみな言葉を、左馬介は慌てて否定した。その時、それまで黙っていた鴨下が割って入った。

「少し動揺されてるようですね、左馬介さん」

 一瞬、その声が堀川を去っていった一馬の声と重なった。それが何故なのか、左馬介には分からなかった。というのも、一馬と鴨下では、声の質が全く異なったからである。咄嗟(とっさ)に左馬介は鴨下の顔を見返していた。だが、そこにいるのは紛れもなく鴨下であり、一馬ではなかった。やはり今日の自分は少し(おか)しい…と、左馬介は思った。

 その夜、暫くぶりに裏手の川縁(べり)を歩いた左馬介は、草叢(くさむら)へと腰を下ろした。

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