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《残月剣①》第二回

洗い終えれば(すす)ぎ、物干し竿に吊るしてひと呼吸を置く。ふたたび、井戸の釣瓶の水を(たらい)へと入れ、その水でもう一度、身体の汗を拭う。更には替えの着物を元のように身につける。帯を鼻で嗅ぎ、まだ大丈夫だな…と思う。毎度のことだから、そうは苦にならない左馬介である。熱気は相変わらず辺りを覆っているが、着替えたお蔭で小ざっぱりして心地は最高だ。その後は道場で最も気温が低い日陰部屋に入り、暫くの間、じっと横たわる。長谷川と鴨下の声が時折り聞こえるが、それが途絶えると、(ひぐらし)の鳴く声のみを聞くことになり涼となる。板の間は冷んやりとして、寝そべる左馬介を、いつしか微睡(まどろ)ませた。ウトウトして、どれほどの時が経ったのであろうか。ふと、左馬介が目覚めると、もう辺りには夕闇が迫っていた。昨夜、ふた時ほどしか眠れなかった為か、すっかり熟睡してしまったようである。左馬介は慌てて飛び起きた。別に慌てるほどの用がある訳ではないのだが、自らの気の緩みが無性に腹立たしい左馬介であった。急いて大広間を通り厨房へ入ると、鴨下が忙しく動いていた。

「すみません、午後の稽古に出ませんで…」

「いいんですよ。長谷川さんが寝かせておいてやれ、と云っておられましたので…」

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