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《霞飛び②》第三十二回

「ところで、先生は御壮健で?」

「おお…今のところは、そのようだな。少し老いられた感がしなくもないが…。いおりと洞窟を時折り、往き来なされる。俺も、その都度、大変よ。この前も、おられると思って行ってみると、裳抜けの殻ということがあった…」

 長谷川の問いに、困り顔で樋口は答えた。そうはいっても、取り分けて深刻そうにも見えない。樋口は樋口流で、その大変さ、そのものを或る種、楽しんでいるように左馬介は感じた。相手が放つ“気”を感じ取れ、更には相手の思うところが察知出来るようになったのは以前にはなかったことで、左馬介の心眼が開いたことを意味する。心眼といえば霞飛びも心眼をもといとする。霞飛びを初歩とはいえ極められた左馬介である。そして、今はそれを踏まえて新たな堀川の剣技を編み出しているのだ。今こうして樋口が訪ねてきたのも、幻妙斎にその様子の進捗状況を観て参れ…というものである。左馬介は、その辺りのことは当然、知らなかった。

 樋口は左馬介の様子に余り変化がないと知ると、堂所へ駈け込んで食事を済ませ帰っていった。左馬介の胸中には、何か得体の知れぬ今後の不安が頭を(もた)げていた。


                            霞飛び② 完

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