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《霞飛び②》第三十一回

「おう、済まんのう…。左馬介、別に変りもなく何よりだ」

「そう云う樋口さんも、益々、意気お盛んで…」

 いつの間にか、左馬介と樋口は言葉で(しのぎ)を削っている。「余り以前と変わっておらぬようだな、腕は別だが…」

「…と、申されますと?」

 左馬介は樋口に、そう訊き返した。「いや、なに…。そう思ったまでよ」

 小さく云うと、樋口は軽く笑った。偏屈者の樋口が笑顔を見せること自体、変なのだ。いくら以前より柔軟になったとはいえ、やはり何かを隠しているように左馬介には思えた。だが、そんなことを訊ける訳もなく、左馬介はそっと心の奥底へ仕舞い込んだ。

「久しぶりに道場の飯を馳走になってから帰るとしよう。鴨下、何か残りものでもあれば出しておいてくれい」

「残りもの、などと滅相な…」

「いいや、腹が減っておるから、何を食しても同じなのだ。腹へ納めるのみよ」

 快活に樋口は云い放った。

「そうですか? まあ残りものも、あるにはありますが…」

 恐る恐る鴨下が窺う。

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