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《霞飛び②》第二十七回

何を訊ねられても左馬介は答えに窮さない自信はあったが、訊かれないとなると、返って肩透かしを食らった気分がするのだった。だが、そんな気分は鴨下が、すぐに打ち消してくれた。

「妙義山へ行かずともよいということは、何か先生がお命じになられたのでしょうか?」

「えっ?」

 鴨下の直な言葉は長谷川の剛よりも勝り、左馬介の心を貫いた。単刀直入とはこのことを云うのであろう。左馬介は咄嗟(とっさ)に、

「ははは…まあ」と笑って暈したが、鴨下の言葉は実に鋭く、的を得ていた。すると、一端は遠ざかった長谷川が、俄かに活気づいて鴨下のの話に食らいついた。

「おっ! 左馬介。その様子だと、先生に何ぞまた云われたのか」

 長谷川の訊くような、そうでもないような言葉に、左馬介は更に暈そうと、「はあ、まあ…」と笑顔で曖昧に返した。だがそれが、返って裏目に出て、長谷川を調子づかせた。

「ほお、そうか…。その辺りを、じっくりと聞くとしよう。のう、鴨下」

 加勢を求められた鴨下は、

「はい、それはもう…」

 と加わった。こうなれば左馬介も仕方がない。

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