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《霞飛び②》第二十六回

ところが、首尾よくいかぬもので、焦れば焦るほど、(もが)けば踠くほど(ひらめ)かないのである。これと同じようなことが以前、あった憶えのある左馬介だった。その折りは、幻妙斎が忽然と現れて示唆を与えてくれた。━ 遠山の目付 ━ の教えが正にそれであった。今度の場合、その幻妙斎の示唆などは全くない故に、己が力のみを頼りにせねばならないのだ。左馬介は朝餉の箸を口へと運びながら、何かよい思案はないものか…と、巡っていた。 「どうした? 左馬介。元気がないぞ」

 長谷川が白湯(さゆ)を飲みながら、そう訊ねた。鴨下は黙々と食べている。

 これは余談だが、茶がない訳ではなかった。長谷川は茶断ちをしているのである。その詳細な理由を左馬介や鴨下は知らなかった。何故か訊くのが(はばか)られ、訊ねることなく今日に至っていた。

「いえ、別に何でもありません。…昨夜、少し眠れなかったものでして…」

 左馬介は適当に云い(つくろ)った。

「おお、そういえば暑い晩だったからな…」

 それ以上は長谷川も訊かなかった。

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