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《霞飛び②》第二十五回

「あっ! これはどうも…。昨日の味噌汁が気になったものでして…。お早うございます」

「なんだ、そのようなことでしたか…」

 思わず左馬介は軽く笑っていた。頭を掻いて照れながら、鴨下も釣られて笑った。井戸から上がってきた小鍋の(ふた)を取り、鴨下が指で()めた。

「大丈夫ですね、今朝は、いけそうです。豆腐を入れなかったのが幸いしました…」

 夏場の賄いは食物の足が早くなり腐り易いから、すぐ井戸へ吊るすのが常だった。多人数だった頃は賄う量が特に多かったから、一馬とともに苦労した新入りの時分の光景が想い返される左馬介である。今は三人となり賄い番も鴨下一人で充分だから、賄い番をしなくてもいいが、これが多人数ならば、新入りが入っていない以上、やはり新入り頭として賄い番をゆっていたであろう左馬介だった。幸いにも多くの者が客人身分となって抜けたから、左馬介は助かった格好だ。お蔭で妙義山へ出向いた折りには、幻妙斎が指南した課題に集中することが出来たし、無難に乗り切ることも出来たのだった。だがそれは、既に過去の話である。今は新たな剣筋の編み出しに全力を注がねばならないのだ。

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