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《霞飛び②》第十八回

「そうか…。まあ(いず)れにしろ、先生はお前にお眼を掛けられているのだ。その有難いお気持に答えねばなっ!」

 そう云って長谷川は左馬介の肩を一つ、ポンと軽く叩いた。

「…はい、有難う存知ます。頑張らせて戴きます…」

「おう、そうだ。もう暫くすれば鴨下も帰ってこよう。何ぞの用向きがあれば、あいつに云っておいてくれ」

 云い終えると、長谷川は大広間から去った。ガラーンとした大広間で一人、胡坐(あぐら)をかいていると、ふと左馬介の胸中に入門した時の光景が甦るのだった。その時、猫の鳴き声がした。それも、微かに…である。左馬介はその声がした方向を眺め、少し気になったのか、立ち上がるとその声がした方向へと歩き始めた。声は道場の離れより聞こえた風である。道場の離れといえば、幻妙斎の(いおり)がある。だとすれば、猫は獅子童子であり、幻妙斎が庵へ戻ってきたということか…。左馬介は廊下を歩きながら、そう巡っていた。雪駄を履き、外へと出た左馬介は、庵へと歩を進めた。ただ、昼間のことであり、夜のように灯りで幻妙斎の存否は確かめようもない。それでも、過去の例を辿れば、獅子童子の声なり姿なりを確認出来さえすれば、十、八、九は幻妙斎が戻ったと理解していいように思えた。

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